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ご挨拶

第26回日本時間生物学会学術大会の開催にあたって

第26回日本時間生物学会学術大会を2019年10月12日(土)~13日(日)の2日間、金沢市文化ホール会議棟で開催させていただきます。

日本時間生物学会は、1994年に臨床および基礎生物学の体内時計研究者を中心として設立された、極めて学際的な学会です。現在この分野における中心的な学会として、国内外より高く評価されています。

24時間社会の到来を受け、現代社会では概日リズムの乱れが、睡眠障害、がん、虚血性心疾患、うつ、肥満、不妊、老化など、多くの疾患・健康障害の一因となっています。昨今のサマータイム制導入に関する議論を契機に、国民にもこの問題がより広く認識されました。医療の現場では、生体リズムを考慮した時間医療・時間薬理が実践され始め、さらには時間栄養学などの領域も発展しています。本学会は基礎研究と臨床応用をつなぐ場として、その重要性が益々大きくなっています。

医療のみならず、体内時計の知識をさまざまな産業において応用する試みもなされています。畜産の効率化や養殖魚の維持管理、植物の開花・結実、さらにはヒトに優しい住環境・光照明など、その応用範囲は多岐にわたっており、人々の生活をより豊かなものにすると期待されます。

2017年のノーベル医学生理学賞は「体内時計の分子メカニズムの発見」に授与されました。しかし、時計遺伝子・タンパク質が正確に24時間周期のリズムを刻む原子・分子レベルの原理や、個体内における細胞間・器官間の体内時計同調メカニズムなど、未解決の重要課題が山積しており、より一層精力的に研究が展開されています。このような基礎研究は将来、体内時計の制御を可能とする画期的な創薬の基盤となるものです。

本大会では「時間生物学の新潮流:Neo-chronobiology」と題し、数理から分子、個体、医療、社会環境、産業応用まで多岐にわたる分野の最先端研究を発表・討論していただきます。特別講演には、ヒトマイクロバイオーム(常在菌)のご研究で世界的に著名な早稲田大学・服部正平教授と、概日リズム研究の第一人者でSRBRのpresidentでもあるワシントン大学・Erik Herzog教授をお招きしています。また、体内時計の分子機構から個体の生理、時間医学、産業応用まで、意欲的かつ魅力的なシンポジウム6セッション、ポスター発表者全員が参加するデータブリッツを企画しています。

前日の10月11日(金)には関連集会として、「概日時計の数理: 基礎となる考え方とその展開型」と題した時間生物学トレーニングコース(企画:瓜生耕一郎)を開催します。

加賀藩の時代から学問の盛んな金沢より、時間生物学のさらなる可能性・発展の方向性を発信できたらと思っております。皆様のご参加を心よりお待ちしております。

第26回日本時間生物学会学術大会
大会長 三枝 理博
(金沢大学医薬保健研究域医学系)